測量の基礎知識

変更日 Mon, 25 Apr 2022 で 09:12 AM

測量とは


測量とは、各地点の絶対的・相対的な位置や地表の形状を決めること  

言い換えれば、座標値の無い地物などに座標値を持たせる作業、設計等で算出された座標値を復元する作業を測量作業といいます

                      座標値の無い地物等に座標値をつける



                      設計等で算出された座標値を現地に復元する


測量で使用する座標系

   一般的に数学等で使用する座標系は南北方向をY座標、東西方向をX座標といいます。 しかし、測量ではXとYの方

   向が逆になり、南北をX,東西をYになります


測量の分類(測量法による分類)

 

 1)基本測量

      全ての測量の基本となる測量。国税を投じて、国土交通省国土地理院が行うもの。

      基本測量では、制度確保をするために作業方法・手法が各作業毎に「仕様書」や「特記仕様書」により定めら

      れています。  近年、規制緩和により、多くの測量会社に受注機会があります

 

 2)公共測量

      基本測量以外の測量で、費用の全部もしくは一部を国または地方自治体などの公共団体が負担や補助を行って

      実施するもの。  実施に当たっては、国土交通省の定める「公共測量作業規程」に則った機器と作業方法で

      作用する。  成果出力は「公共測量作業規程出力判例集」に則った形で出力するものとします


 3)基本測量・公共測量以外の測量

      基本測量・公共測量の成果を利用する測量で、政令で定めたものを省いた測量。

      国土交通省・水資源局 国土調査課で管轄する国土調査(地籍調査)、法務省・法務局で所轄する公図・登

      記・分筆などの測量(土地家屋調査士の作業はこの分類に該当)


 4)上記3つの分類に入らない測量

      私有地の中で大工による個人住宅建築など、公の測量成果を利用しない測量。 ただし、知機知の位置を特定

      するのは、前記3)の測量



測量の分類(測量目的による分類)


 1)基準点測量

      既存の基準点を基に、新しい基準点となる新点の水平位置+高さを決める測量

      最終的に求める成果:座標値(緯度・経度XY座標、楕円体高、標高)

      使用機器:トータルステーション、GNSS

        1等~3等三角点 「基本測量」

        1級~4級基準点 「公共測量」


 2)水準測量

      既存の水準点を基に、新しい水準点となる新点の標高を決める測量

        1等~4頭水準点 「基本測量」

        1級~4級水準点 「公共測量」

      水準測量の手法としては、

        「直接水準」:レベルを使用

        「関節水準」:GNSSやトータルステーションを使用

          ※測定精度的には直接水準測量の方がより高い

          ※ただし、高さを求める作業自体を水準測量という言い方を使用する場合もあります


 3)地形測量

      基準点を基に、地形図平面図GISの基図を作成。基準点測量等、最終成果が数値の場合を「測地測量」と

      表現しますが、地形測量のように最終成果が図面や写真図の場合を「測図測量」といいます。


 4)応用測量

      道路・河川や公園などの計画・調査・現況測量・実施測量・用地取得・登記・管理などに使われる測量

      例えば、新たに道路を作る場合には、予定地の現況平面図を作成したり、現状の横断測量等、主に狭いエリア

      内での現状把握のために行う測量で使用します



測量の基準

   日本における測量の基準は、次の2つです

      基本三角点・・・・・緯度・軽度の基準

      基本水準点・・・・・標高の基準


   座標の標記については、次の2つです

      緯度・軽度・・・・・度分秒の60進法で表示(60進法では計算が面倒)

      XY座標  ・・・・・平面直角座標系状m単位で表示(日本を複数の座標系に分け、その中は平面と定義)


   国土交通省国土地理院の定める基本基準点の成果は全てGRS-80という仮想楕円体上での緯度・軽度で表現していま

   す。 これを閲覧すると、確かにX・Yといった平面直角座標値も併記していますが、これはあくまで使用者が計算し 

   やすいようにとの配慮で記載されたものです 本来の成果値は緯度・軽度です



 日本は2002年まで準拠楕円体として「ベッセル楕円体」を用いていました(日本座標系とも呼びます)

 GNSS技術の発展などから準拠楕円体をGRS80に変えました(世界測地系とも呼びます)

 同じポイントでも楕円体の違いで移行時には数mから数百m違ってきます。

 全ての基本基準点と公共基準点をGRS80で再測すれば問題はありませんが、一部のみGNSSにて再測し、残りはシフトパ

 ラメータにて座標変換しています

 これらの原因で20年以上経った今でも電子基準点=公共基準点になりません



平面直角座標系

    上記に記しましたように、本来地球は球面です。 位置を表示するには60分法で緯度・軽度で示す必要があります

    しかし、計算自体が面倒になるため、日本を多くの座標系に分けて、座標系内はすべて「平面である」として計算

    しています。 球面=平面にするために縮尺係数等多くの式を使って球面≒平面を作り出しています

    もちろん座標系間の距離も大きくはしません

        ポイントをX・Yで表示しますが、解りやすいように〇系のX・Yというようにしています

     ※ちなみに東京都は9系というように計測する各地で座標系を確認してください



 縮尺係数

   球面である地球を平面の座標値で表すには幾つかの矛盾が発生します

   それを消し去る一つのほうほうとして「縮尺係数」があります

   トータルステーション等で測った面は平面として表示します。 これに「縮尺係数」をかけてやると平面の距離にな

   るといった具合です

     この例でいうと、101測点は11系にあります。 101の近くでトータルステーションで測った距離に0.999906か

     けると地球上の球面距離になります

     これは全ての基本基準点成果に標記しています、また3次元平均網で計算した基準点にも必ず標記しています



対回観測と放射観測の違い

     トータルステーションで観測を行う場合、「対回か放射か」の観測方法で迷われる方を多く見かけます

     詳しくは日本測量協会発刊の公共測量作業規程をご覧いただくのが一番簡単かと思われます

     対回観測は正観測と反観測を行い(等級によって回数は変わります)トータルステーションの軸誤差を消し去る

     作業を行います 一般的に基準点測量では必ず対回観測を行います


     また、単点観測などの測量では、放射観測を行います これは読んで字のごとく、基準点に機械を据え付け予め

     座標のわかっている基準点を後視点(バック点)として観測し各点を正のみで観測する方法です

     機械の軸誤差は消去できませんが、近年のトータルステーションを正しく据えて気泡管が正しく正準されている

     のであれば、「正」と「反」の違いは大きくはないかと思います

     また、軸誤差を気にするようなmm単位の測量ででは放射観測は行わないと思います



水準測量の直接観測と間接観測の違い

     高低差(高さ)を計測する方法として、直接観測と間接観測の二つに分かれます

     直接水準で使用する機材はレベルといいます これには水平にするためにいろいろな機構がありますが、レベル

     では水平しか観測することができませんが高精度に水平観測が可能です

     

      機械点aにレベルを据え付け、標尺AとBを観測し、その差△Hを計算します

      機械をbに移動して標尺BとCを観測といった具合に続けて観測して、新点の高さ(水平は測りません)を観測

      してA・B・C・Dの高さを計測していきます


      これに対応するのが間接水準です この方式での多くはトータルステーションを用います

      トータルステーションは水平角と鉛直角と紗距離を測定します

      トータルステーションは解読できる角度の差で1秒~20秒(一般的に)読みに分かれます

      地球が球体であることと、何秒読みかで求める点の高さが違ってきます

      例えば、20秒読みの器械でV角(高低角)と斜距離を測定したとしましょう。 問題は20秒よみという点です

      また、トータルステーションの中で計算して水平距離を表示するものもありますが、これもV角によって間違  

      い(誤差)が生じます

      正しい「高さ」が欲しい場合は直接観測を行います


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