GNSSの基礎知識

変更日 Mon, 25 Apr 2022 で 09:13 AM

GPSとGNSS


  GPS(Global Positinion System)

    米国により開発 1980年台半ばから運用開始


  GLONASS(Global orbital Navigation Satellote System)

    冷戦時代のソ連軍が開発 1980年台末に運用開始


  GALILEO

    欧州連合が2012年より運用開始


  この他にも中国(北斗)日本(導き)もあります


 従来は衛星測位の総称をGPSとしていましたが、現在は複数の衛星測位システムを利用している為、

 GNSS(Global Navigation Satellite System) といいます



GNSSの測位種類


  ・単独測位=受信機1台で算出する座標値(携帯電話等で使用) 位置誤差数十mもありえます


  ・相対測位(相対する2台以上の受信機で計測 測定方法でm単位~mm単位の精度)

       ①ディファレンシャル測位 (主に船舶航行等で使用) DGPSともいいます

       ②干渉測位(搬送波を計算で使用し、主に測量等で使用する制度)

     


単独測位の簡単な原理



         <要件>

           ・4つ以上の衛星の位置は機知(衛星自体が現在位置を把握し、発信している)

           ・4つの衛星からの距離を測定(出射時刻と到着時刻の差から距離を測定)


          単独測位受信機は4つの衛星を中心とする球の交点にある(理想的には)

          理論的には3つの衛星で大丈夫ですが、時計誤差を最大限とるためには4つ目を使用します

          この交点が単独測位で求めた座標値となります


          単独測位の誤差は数mから数十mとなります


          単独測位では以下のような誤差要因があります

            ・衛星時刻誤差

            ・衛星の軌道誤差

            ・電波の電離層遅延補正による誤差

            ・電波の対流圏遅延補正による誤差

            ・電波のマルチパス干渉による誤差

            ・受信機雑音による誤差

          これらの誤差要因を除去し、より精度の高い位置情報を得ようとする為には、2台以上の受信機を使

          用し、同時に同じ人工衛星を受信することが必要です これを相対測位といいます

          相対測位にはコードを用いた単独測位を組み合わせたディファレンシャル測位と電波の搬送波そのも

          の波長の数を測る干渉測位があります          

          


干渉測位の簡単な原理

    2台以上のGNSS受信機で同時観測を行い、電波の遅延時間差=移動差を求める事で2点間の距離を算出

    測点の一方は座標のわかっている点であることが理想です


 4つ以上の衛星から位相差を算出すれば、2点間の正確な3次元的な位置(ベクトル)を正確に算出できます

    測量等に応用可能

    干渉測位を測量等で使用する場合、計測方法により数㎝から数mmとなります



干渉測位の種類



  エアロボマーカーはL1波のみです

  干渉測位のスタティック測位短縮スタティック測位のみです

  点間距離が10㎞以下であればスタティック法(30秒インターバル・共通衛星4つ以上)1時間の測位で結果が出ます

  点間距離が6㎞以下で短縮スタティック法(15秒インターバル・共通衛星5つ以上)20分程度で結果が出ます


  スタティック・短縮スタティックは座標を計測するためのものではありません。 あくまで受信機間のベクトルを計測

  するものです。 ベクトル算出後、片側の座標値が決まっていれば未知点扱いの計測点の座標も出るといった具合です



スタティック・短縮スタティックとは 


   GNSS観測手法の一つです 複数台のGNSS受信機を用い、同時同じ衛星を4つ以上(短縮スタティックの場合は5つ  

   以上)受信し計測後に解析作業を行います ここで算出するのはあくまでベクトルです

   観測時間

     スタティック   = 60分以上(30秒間隔にデータ取得)

     短縮スタティック = 30分以上(15秒間隔にデータ取得)



GPSとGLONASS

   GPS衛星のみでは衛星数が少なくなってしまうような場合にGLONASS衛星を使用する場合があります

   GPS衛星とGLONASS衛星の両方を使えば精度的に向上すると思っている方を多く見かけますが、これは間違いです

   GPS衛星のみでは衛星数が不足する場所(デッドエリアと言います)でGLONASS衛星を使用することで「測れなかっ

   た場所」が「測れる場所」になるわけです

   ただし、GPS=3個、GLONASS=1個で計4個というのは使えません 公共測量作業規程を熟読の上、衛星個数を保ち

   ましょう



DOPとは


     簡単に表現すると衛星状況による制度劣化と考えていいでしょう

     天空における衛星の配置が良くないと精度が劣化するのは地上測量で三角測量・三辺測量における関係と同じと

     言えるでしょう

     DOPには次のような種類があります


      GDOP = 幾何学的精度低下率

      PDOP = 位置精度低下率

      HDOP = 水平精度低下率

      VDOP = 鉛直制度低下率

      TDOP = 時刻精度低下率

      RDOP = 相対精度低下率


     測量機器メーカーで違いますが、色々なDOPを表示します

     エアロセンスではHDOPやVDOPも表示しますが、PDOPでも間違いは無いと思います

     ちなみに、DOPは小さければ小さいど信頼性が高いとも言えます

     エアロボマーカーで観測時はPDOPが2以下の条件時に正しく計測が出来ると思います



キネマティック測位とリアルタイムキネマティックとは

     2台以上使用する干渉測位の中にはキネマティック測位とリアルタイムキネマティック測位もあります

     キネマティック測位もリアルタイムキネマティックもL1とL2を使用する2周波受信機を使用します

     2周波で使用する全てのコード等総動員して初期化(動き出せるまで)作業を行うためです

     エアロボマーカーはL1波のみの1周波受信機ですので、基本的にこれらの測位は行えません

     GNSS創成期にはキネマティック測位が盛んにおこなわれていましたが、だんだんと廃れていき、かわりにリア

     ルタイムキネマティック測位へと変わっていきました


     ちなみに両者をわかりやすくするためにキネマティック測位をPPK(ポストプロセッシングキネマティック)と

     いい「後処理キネマティック」とも言います

     原理的には、1台を座標が機知である点に設置し、移動する受信機はポール等の上に設置し「多分初期化したろ

     うな」と思ったら移動します

     全ての計測が終了度、固定局のデータと移動局のデータをPCにダウンロードして「あの時のあの位置はX,Y,Zい   

     くらだったか」の過去形でわかるようになります

     この方式が一般的に認められなかったのには幾つかの理由があります

     ・移動中も必ず衛星を受信し続ける必要があります

     ・樹木の下やビルの間、トンネル等通れない場所がいくつもあります

     ・計算結果をリアルタイムで見ることができないので、測りながら不安になります

     これらの要因で一時期は廃れていたPPKがドローンという世界では地上と違い重宝されます

     上空では遮るものがありません 2周波の固定局と2周波搭載のドローンを使えば簡単にPPKが行えます


     これに対して1990年台後半からRTK-GPS(リアルタイムキネマティック測位)が主流になってきました

     原理はPPKと同じですが既知点と移動局の間を無線でつなぎます 測量等の場合は固定局の情報を移動局に無線

     で受信状況を通信します 移動局側では基地局からの電波と移動局の電波でリアルタイムに自分が今いるポイン

     ト(Z,Y,Z)を計算します

     利点としては、現状が解りやすいという点です 「今測れるのか」が一目でわかります

     ただし、固定局無線は必ず移動局に繋がることで計算を行う関係上、繋がることを前提で考えています

     ドローンの世界ではRTK-GPSを使うかPPKを使うかで各社わかれるところだと思います

     


  このように同じGNSS受信機でも測定手法・測定間隔・測定時間で全く違った観測と精度を保つことが可能です

  つまりトータルステーションを例に出すと、1台のGNSSで0.5秒読みの器械と20秒読みの器械を1台でまかなっているよ

  うなものです



異機種での組み合わせ

  通常では全測点に同一メーカーの同一機種を配置し、その機種付属の基線解析ソフトウエアで処理することが望ましい

  とされています しかしドローンでRTK-GPSやPPKを行う場合、同一機種というわけにもいきません

  このような場合、観測データを測量機種によらない共通フォーマットに直す必要があります

  共通フォーマットにはRINEX形式(Recever Independent Exchange Foemat)が広く使われています


  通常はデータを渡す側の受信機データを自社のソフトウエアにダウンロードしてRINEX形式に変換後データを渡します

  受け側はRINEXデータが取り込める事を必要としますが、殆どのソフトウエアで可能であるかと思います


この記事は役に立ちましたか?

それは素晴らしい!

フィードバックありがとうございます

お役に立てず申し訳ございません!

フィードバックありがとうございます

この記事に改善できることがあれば教えてください。

少なくとも一つの理由を選択してください
CAPTCHA認証が必要です。

フィードバックを送信しました

記事の改善におけるご協力ありがとうございます。